人柄と習慣

ニコマコス倫理学より
第一巻13章以降より、徳には2種類ある。知的な徳と人柄の徳だ。
知的な徳は知性や思慮深さに分類される徳で、人柄の徳は気前の良さや節制に分類される徳を示す。ニコマコス倫理学では特に人柄の徳に触れている。
簡潔に示すと、「人柄の徳は日頃の習慣から来ている。」と述べている。
「人柄の」という意味の「エーティケー」は「習慣(エトス)」から少し変化してできたものとされている。
もし、人柄の徳が生まれつき備わっているものだったらどうだろう?石を上に投げ続けても下に落ちるように、石が下に落ちる性質を上に昇るようにすることができない。
この例えは、「もし、人柄の徳が生まれつき備わっているのであればその徳は日頃の生活によって書き換えられることが無い」ということを示している。
ただ、実際には人柄の徳は変化する。よって人柄の徳は生まれつきではないことを示している。人柄の徳を良くする為にも、「良い状態の習慣」を身につけることが重要と説いていた。